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テレまめ

オンナたちの存在感【ナオミとカナコ】

テレビの中というのは、基本的に華やかさを求められる世界ですから、いきおい、麗しい女優さんたちが中央に据えられて注目を浴びることになります。ただでさえ美しい存在でありながらも、そこに「凄み」とか「そら恐ろしさ」のようなエッセンスを加えると、それはそれは鮮烈な印象を残すことになります。

フジ「ナオミとカナコ」は、女性たちがまなざしの中に秘めた想いが、凄みを持って強く迫ってくるドラマになっています。

http://www.fujitv.co.jp/naomi-kanako/index.html

百貨店の外商部に勤務する直美(広末涼子)と、エリート銀行マンと結婚して専業主婦の加奈子(内田有紀)は、大学時代からの親友。ある時直美は、加奈子が夫・達郎(佐藤隆太)から酷いDVを受けていることを知ってしまう。加奈子が逃げ場のない状況に追い詰められていることに心を痛めた直美は、いっそ2人で達郎を殺してしまおうかと口走る。やがてその思いは現実味を帯びて二人の心の中を侵食してゆく。

ひょんなことから知り合った不法滞在の中国人・林が達郎に瓜二つだったことから、直美は、達郎に顧客の預金を着服した罪を着せた上で殺害し、死体を山中に埋めるとともに、達郎になりすました林を中国へ出国させ、逃亡したと見せかけて殺人の事実を隠ぺいするという計画を立てる。

穏やかに且つにこやかに顧客の信用を得ている直美が、淡々と犯罪の準備を進め、すでに胆が据わっているかと思いきや実行の段階で躊躇しそうになるところや、ひたすら耐えて怯えるかよわい加奈子が、まるで仔犬のような可愛さでありながら、確実に夫の息の根を止めようとするところなど、極限状態での人間の機微が表現されていて、単なる殺人死体遺棄のミステリーではない、ねじ込むような迫力が感じられます。

また、迫力といえば、強烈な迫力と存在感の女性が、華僑の女社長・李朱美(高畑淳子)。「女傑」という言葉が服を着て出てきた!と思わせるようなインパクトで、時として主役を食う勢いで圧倒してきます。

また、今後の展開で直美と加奈子たちを追い詰める立場になるであろう、達郎の姉・陽子(吉田羊)も併せて、ドラマ後半もオンナたちの眼ヂカラに釘付けにされること必至です。

ところで、内田さんとDV被害…といえば、先期のドラマ「偽装の夫婦」でも、元夫からDVを受けていたという役どころでしたね。「偽装〜」の劇中で、娘を力づくで取り返そうとする元夫との攻防のために、主人公のヒロ(天海祐希)が友人として元夫と対峙する場面があったのですが、実はそこで読書マニアのヒロが引用したのが、この「ナオミとカナコ」の原作本の一節(直美と李社長の会話)でした。

「偽装〜」ではこのカナコの事をしおり(内田)になぞらえていることになりますが、そのカナコが内田さんで、しおりも内田さんで…アレ?(笑)

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第779号)

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