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テレまめ

ジミー vs ハデー【サムライせんせい】

フィクションの世界は、すなわち想像の世界です。作家さんの脳内で「もしもこんなシチュエーションなら、コイツはどう動くだろう」と想定された人物たちが立ち回り、それが映像化されたものがドラマや映画となるわけですが、その「人物」が歴史上の人物など、多少なりとも知っている人ならば、自分の中の記憶と想像力も刺激されて、独特の可笑し味を誘いますね。

テレビ朝日の金曜ナイトドラマ「サムライせんせい」は、幕末の志士・武市半平太が突如平成の世にタイムスリップしてくることから始まります。

幕末。尊王攘夷運動の中心だった武市半平太(錦戸亮)は切腹を命じられる。だが気づけば武市は、死に装束のまま、神里村という片田舎のアスファルトの上に横たわっていた。

時は平成、ちょんまげ姿の武市に好奇の目を向ける村人たち。逃走の果てに匿われたのは元・小学校長で現在は学習塾を営む佐伯(森本レオ)の家だった。得体の知れない変人を排除しようとする孫の晴香(比嘉愛未)や寅之助(藤井流星)に対し、佐伯は武市をホンモノの幕末の志士として扱い、塾の先生として、家に居候させることにする。

やがて世間で噂になった武市はマスコミに取り囲まれるようになるが、それに紛れて近づいてきた、楢崎と名乗るジャーナリストは、実は武市よりも1年前にこの地にタイムスリップして来ていた坂本龍馬(神木隆之介)だった。

錦戸さんは以前、映画「ちょんまげぷりん」で、直参旗本の侍が現代にタイムスリップをしてくる安兵衛さんという、今回とやや類似した役柄を演じておられましたね。

こちらも謹厳実直なキャラクターで、武市の武骨で頑ななイメージと被るところがありますが、共に、ユルくてダレてる現代社会に「礼儀」や「秩序」や「信念」といった部分を啓発する凛としたキャラクターながら、こちらの武市は現代の食べ物に「なんとも美味じゃ!」と感動したり、カルチャーショックに面喰らったりすることで、少し滑稽ながらも清々しい存在感を出しています。

ところがですねぇ、ここに坂本龍馬が登場!「好きな歴史上の人物アンケート」で長く1位をキープしている龍馬さんは、地味な武市に対して「自由奔放」「改革推進」「臨機応変」「好奇心旺盛」「大胆行動」など、なにしろ派手!これを、今や爽やか好青年の神木くんが飄々と演じていて、主役の座を持って行かれそうなくらい、イイんです。

「あんなの、薩長同盟に比べれば楽勝でしょ♪」とにこやかに言い放つところとか、文明の利器を軽々と使いこなすところや、現代語を即座に幕末用に翻訳(闇金→悪徳高利貸し、デリヘル→移動式遊郭、パソコン→絵箱)するところに、龍馬なら環境順応力が高そうだから、やってくれちゃうかも!的な痛快さを感じてしまいます。

史実では、時勢の流れゆえの思想の違いから袂を分かつことになってしまった親友の二人ですが、平成の時代では友情だけが二人の絆です。もしも平穏な時代に龍馬と武市がいたら…あなたの想像力の中では二人はどんな行動を起こすのでしょうか。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第768号)

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