1May
ドラマをチェックする際、内容の判断の指針になるのがいわゆる「ジャンル」です。刑事モノ、医療モノ、学園モノ、恋愛モノ…見るものは、思いもよらぬ展開を期待しつつも、全般にはリアルさを求めています。
そんな傾向があるからなのか、結構手薄なのが「ファンタジーもの」のジャンルです。アニメの世界に飛べばこちらが主流で、非現実の世界の方が常態化している感もありますが、TVドラマでは「精霊の守り人」のように、完全に異世界を描くか、あとは…ヒーローものも、このジャンルに入れちゃいましょうかねぇ。
先週も触れた「ボク、運命の人です。」や、07年の「プロポーズ大作戦」(フジ)も、(ん、どっちも山P?)素地に非科学的な要素があるにせよ、基本は恋愛ものです。
NTV「Q10」(10年)、フジ「絶対彼氏」(08年)は人間型ロボットでした。ですが、今期のNTV「フランケンシュタインの恋」は、科学者が作り上げた人間の肉体を持った生命体が主人公という、「怪物モノ」という異色作です。
継実(二階堂ふみ)は、大学で菌を研究する理系女子。ある日、よからぬことを企む男たちに騙されて窮地に陥ったところを、ある男性(綾野剛)に救われた。
詳しい記憶がないまま翌朝目覚めた継実は、珍しいキノコが自分の服についていたことから、前夜の現場となった森に踏み入り、そこで不思議な男性と出会う。彼は120年前に父親によって作り出された怪物だと言う…。
最初にタイトルを聞いたときには、怪物・フランケンシュタインというのは単なる比喩的表現の恋愛ものかと思ったのですが、よもやのマジでフランケン。そして綾野さんのメインビジュアルをみると、それだけでもフィギュア化したくなるような美しさを感じたのに加え、出演が、綾野剛、二階堂ふみ、柳楽優弥、柄本明、光石研、新井浩文、山内圭哉…って、かなりエグめなハードバイオレンスでもできそうな結構ゴツい布陣だというこのギャップ。見る前から「よく出来ました」スタンプを押したくなるような気になりました。
ドラマ本編を見てみますと、病弱な継実の儚そうな感じや、人間界を見た怪物の戸惑いの表現、何よりも主役のふたりのピュアな表情に、おとぎ話的暖かさを感じました。
怪物が、唯一の外部とのつながりであるラジオから流れる歌を口ずさむところは微笑ましいし、怪物の名前を咄嗟に「深志研」と名乗ると、「健さんでも、拳でも謙虚でもなく、研って、ケンの中でもイチバン位が低いな!」と言い放ったのが光石研さんだったことに大笑いしたり、楽しい部分も含んではいますが、怪物が人ならざる存在だけに、順応しきれず様々な不都合が起こることは、楽しさだけではすまないような雰囲気で、これが、今後、大きく物語を動かしていくことになりそうです。
ですが、余りにも非日常な状況だけに、その動いた物語が最終的にどう着地して行くのかは、全く想像がつかず、目が離せなくなりそうです。せめて、怪物の120年の孤独を癒す恋が幸せなものにと願わずにはいられません。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第841号)
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