27Aug
前回「ぎぼむす」こと「義母と娘のブルース」の、佐藤健さん演じる麦田章が、「ヒモメン」で窪田正孝さん演じる翔と通じるところがあると言いましたので、今回のお題はその「ヒモメン」で参りましょう。
海外では「ジゴロ」、日本では「ヒモ」という言葉が昔からあるように、洋の東西や古今を問わず、“だめんず”はかなりの割合で存在しているものなのですね。
碑文谷翔(窪田正孝)は、実家を追い出されてから恋人の春日ゆり子(川口春奈)の部屋に転がり込んできた。生粋の怠け者の翔は、ゆり子の部屋で彼女に代わって家事をするわけでもなく、ゴミ出しすら面倒がる有様。
ゆり子から1日単位で小遣いを貰って過ごすが、ゆり子が一計を案じて暗証番号式の金庫に小遣いを入れておくと、その暗証番号を推測することさえ億劫になって(正解はゆり子の誕生日)力尽くでこじ開けようとする。
ゆり子が心を鬼にして翔を突き放すと、捨てられたくないと焦りはするものの、結局は楽をして金を得ることしか発想しない、とことんクズなヒモ男だった。
翔のダメさ加減に、背後からハリセンで殴ってやりたくなるんですが、それこそがこのドラマの面白味なんですよね。翔は、いわば「楽ができるなら、そのためにはどんな苦労もいとわない」というような、一回ねじれた単純思考(笑)の持ち主でして、テレビ番組で見た「営業マンが仕事のために土下座するシーン」は物真似できるのに、自分自身のこととして周囲と折り合いをつけることは自らの辞書には存在しない。と、まあこんなヤツ。
それでもそんなヤツに限ってミラクルを呼ぶ力はあるようで、失くしたお食事券はコイツに盗られたに違いない!と勘違いした挙句に政治家の汚職事件を暴いちゃったり、会社の面接に行くのに、格好いいからってんでサングラスとキャリーケースの勘違いスタイルで行ったら、先方から中国人技術者のシャオ・チャンと間違われた上に「翔ちゃん」と勘違いして、なんとなく話が流れていくとか、とにかく神に愛されたヒモなんですね。
呆れつつも翔を捨てきれないゆり子、ゆり子に熱烈片思いの池目医師(勝地涼)、ヒモ男に異常に興味を示す聡子先輩(佐藤仁美)、さりげなく場をかき回していく師長(YOU)など、コメディを色付けするバイプレイヤー多数の中、まずは愛と奇跡のヒモ男にご注目ください。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第909号)
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