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テレまめ

負けられない戦いがそこに。【テセウスの船】

「人生はやり直せない」とは揺るぎない真理ですが、敢えてそれを揺るがして「IF」を実行させてしまう物語の世界は、ゾクゾクする楽しみがありますねぇ。そんな思いになるのが、日曜劇場の「テセウスの船」です。

平成元年に音臼村で発生した無差別殺人事件の犯人として逮捕され死刑判決を受けたのは村の駐在警官だった佐野文吾(鈴木亮平)。文吾の逮捕から1ヶ月後に生まれた心(竹内涼真)と家族は名を田村と改め、ひっそりと暮らしてきた。

そんな境遇を知った上で心と結婚した由紀(上野樹里)は、音臼村では殺人事件よりも前に不審な事件が頻発しており、文吾は冤罪の可能性があると、当時の資料をまとめていた。その由紀が赤ん坊を出産すると同時に死亡、心は残された我が子と未来を生きるために、ずっと目を背けてきた父の事件と対峙することを決心する。

父に面会する前に事件現場に花を手向けに行った心は、慰霊碑の前で深い霧に包まれる。再び霧が晴れた時、そこには先程までなかったはずの音臼小学校の校舎が現れる。

心は事件が起こる前にタイムスリップしていたのだー。

初めて村に不審な事件が起こった日に舞い降りてしまった心。たまたま助けた少女は実の姉で、30年後の世界ではその時の事故が元で顔に傷が残ってしまうはずだが、自分が早く発見した事で傷は残らないと聞き、過去を書き換えることが出来るのではないかと思い始めます。

ですが、これから起こることを知っている心は、警察官である文吾には不審人物でしかない。生まれた時から「父は殺人犯」であった心にとっても、父は信用できない人物。そんな所から始まった過去の焼き直しですが、直接触れ合う事で、二人は理屈を超えた親子の絆を感じ合います。

そして、父が犯人でないならば、その周囲に必ず真犯人は潜んでいるわけで、狡猾な真犯人の計画的犯罪を未然に防ぐために行動することは、自分たちの立場を不利にすること必至となり、誠実と正義だけでは戦う武器に足りないというもどかしさが起こります。

心が過ごしてきた30年間の暗い人生をリセットし、そして新たな命がこれから生きていく長い人生を憂いないものにするための、決して負けるわけにはいかない戦いなのです。

登場人物全員を疑いながら、30年後が希望にあふれた世界になっているように願いながら、のめり込んでしまう日曜の夜です。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第982号)

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