17Jul
個人的には子育てがだいぶ終盤戦になってきた私ですが、子育てって、自分の思うようにならないことがストレスでもあり、成長の証でもあり、バランスが難しいところだと言うのが実感で、誰かが言った「育児は育自」という言葉に深く納得します。
さて、ドラマの中では、溺愛の海にどっぷりとハマる、極端なケースも描いてみることができるようです。なさそうでアリかもの世界を日本テレビ「過保護のカホコ」で覗いてみましょう。
根本加穂子(高畑充希)は両親の愛情を一身に受けて育った女子大生。加穂子の誕生日の祝いは、父方の実家と母方の実家と自宅で3度行われるという念の入りよう。朝は自分で服も決められず、夜は満腹になれば前後不覚に眠り込むという加穂子の世話を全て引き受けるのは、母親の泉(黒木瞳)。父の正高(時任三郎)は、母子の関係に危ういものを感じながらも、娘可愛さから何も言い出せない。
そんな加穂子は、就活中の身でありながらも、就職試験には落ち続け、さらには父の知り合いのコネを頼った志願先にも断られる有様。
家族の庇護に対して何の疑いも持たなかった加穂子だったが、同じ大学に通う画家志望の麦野(竹内涼真)から辛辣な批判を受けてから、自分の存在意義についての問いが生じ始める…。
朝ドラ「とと姉ちゃん」では、ひたすらしっかり者の長女だった高畑さんが、ここではぬるいお風呂にタプタプと浸かっているかのような一人っ子を演じています。無心でご飯を食べている幸せそうな表情は今までとギャップを感じる無防備さで、確かに保護本能を刺激される思いです。ギャップといえば、麦野役の竹内さんも、現朝ドラ「ひよっこ」での島谷くんとは全く違うキャラなのが興味深いところ。
時任さん演じる父親は、内心では冷静に人間観察をしては、その人を動物に例えながらツッコミをいれつつも、それを外には出さないとろは、脚本の遊川和彦さんの前作「偽装の夫婦」でのヒロと通じるところがあって、可笑しみを醸しています。ストーリー的には、母親の鬱陶しいほどの溺愛に対するイラつきを緩和する効果もあるかも、ですね。
苦学生の麦野から仕事のしんどさや、その後の達成感などを知らされ、加穂子の内面に変化が芽生えます。その芽は両親の意識をはるかに超えたスピードでぐんぐんと伸び始める…。第1話のラストではそんな予感を匂わせました。その急成長は、おそらくそれまでに十分すぎるほどの愛情を注がれたことによって、加穂子の心が豊穣になっているからなのでしょう。
加穂子の成長とともに、家族たちの成長と自立も見守りたくなるドラマが始まりました。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第852号)
関連記事
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。