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テレまめ

ミゾミゾする!【カルテット】

先日、職場の同僚たちと少し遅めの新年会を開催いたしましてね。途中、大皿に盛られた唐揚げ(レモン添え)が運ばれてきた時に「あ、レモン!どうする?かけてもいい?大丈夫?……カルテット!!」と笑い合い、期せずして同僚の間では「カルテット」視聴率が8割だったことが判明しました(笑)

カルテット

ヴァイオリニストの巻真紀(松たか子)と、世界的指揮者の孫でヴァイオリニストの別府司(松田龍平)、ヴィオリストの家森諭高(高橋一生)、チェリストの世吹すずめ(満島ひかり)は、都内のカラオケボックスで偶然に出会ったことをきっかけに弦楽四重奏団を組み、軽井沢にある別府家の別荘で共同生活をすることになる。

4人の中で真紀だけは既婚者だったが、夫が理解者で、週末ごとの来訪を許されたという。偶然出会った体の4人だが、実はすずめはそれより以前に真紀の夫の母・鏡子(もたいまさこ)と接触し、真紀の友人になるフリをしろとの依頼を受けていた。性格も価値観もそれぞれの4人は微妙な齟齬を感じながらも、お互いを探り合うように音を合わせていくが、その中で真紀が語り始める。「1年前、夫が突然失踪しました…」

表向きは「運命的な偶然によって出会った四人」ですが、序盤から、その裏にあるエゴイスティックな事情が見え隠れする展開です。そして、四人四様の価値観の違いが、「個性だ」と笑い飛ばしてはしまえないほどの気持ち悪さを持ってまとわりついてきます。

真紀が時に見せる冷徹さ、別府のお坊ちゃまらしい捉えどころの無さ、家森の理屈っぽい面倒臭さ、すずめの奔放なマイペースさ。裏事情がなければ、そもそもこの4人が合うわけがないよ!というのが如実に現れたのが、真紀が軽井沢に合流した初日の夕食に、大皿の唐揚げに別府とすずめが断りもなくレモンを絞った場面なのでした。

レモンをかけるのは当然という別府とすずめに対して、人それぞれだと主張する家森とで激論が始まり、「唐揚げが冷めてしまう」と真紀が言わなければ事態は収まらなかった様相で、これって、共同生活にはかなり致命的なことだと第1回から見せつけてきました。

また、4人が演奏前にするルーティン(真紀→結婚指輪を右手につけかえる、別府→メガネを拭いてかけ直す、家森→シャツの襟を広く開ける、すずめ→靴下を脱ぎ素足になる)が本番前の緊張した心理を表現し、異常に小さい真紀の声をほかの3人が聞き逃さないことが、耳を大事にして音に敏感な音楽家であることを表しているのだなといった、細かい演出も見るものを惹きつける効果があります。

そして、すずめが話す言葉の中で気になるのが「ミゾミゾする」というもの。家森が「ミゾミゾって何ですか?」と聞くと、すずめは「ミゾミゾするって事ですよ」と、説明にならない説明で返すのですが、この言葉、演奏前だったり、真紀の言動を探るように鏡子に依頼された時だったり、かなり頻繁に登場します。

一般的なオノマトペに置き換えるとしたらどの表現が近いのだろう…「ゾクゾク」「ワクワク」「ドキドキ」「ソワソワ」…あるいは全く違う意味?と、心が一時停止させられます。すずめが心に秘めている想いがどんなものなのか、ネタバレしないで興味だけそそるという、これまた憎い演出ですね。

さらに特筆したいのは、エンディングテーマの「おとなの掟」。椎名林檎さんの楽曲を、主人公4人が四重奏ユニットと同じ「Doughnuts Hole」として歌っています。火10といえば、先日まで「逃げ恥」で出演者が踊るエンディングテーマが話題になりましたが、これもまた全く違うテイストで、本編を盛り上げるエンディングに仕上がっています。4人のアダルティックな感じが、ミゾミゾするったらありゃしない!!

それぞれが若干の居心地の悪さを心中に持ちながらも、自分を偽るように続ける共同生活。その先に見えている破綻へと、どのようにたどり着くのかを見届けたいと思う視聴者もまた、悪趣味なんでしょうかねぇ。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第828号)

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