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テレまめ

『こんな時だから』の名のもとに

全国の緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ油断のならない毎日。僅かに未来の展望も見えつつも、二か月にわたるステイホームの日常は、様々な変化や影響をもたらしていることを実感しますね。

放送が予定されていたテレビドラマの撮影はストップしたままで、通常4月から始まるドラマは数回放送されて止まっていたり、放送開始を延期して過去作の再放送や再編集版を放送したりしています。これはこれで、再発見があったり、新たな編集で本放送時とは違う趣きを感じられたりで楽しめるのですが、従来の撮影ができない状況だからこその新機軸を実験的に打ち出そうというドラマが、各方面で作られています。

実際問題、新手法に挑むというよりは、制作者・出演者がなんとかして働く手段を得るという意味合いもあるかもしれないのですが、日本中が停滞している状況を少しでも動かそうといった気合を感じずにはいられません。

まずバラエティ番組は、リモート中継によって出演者が離れた場所から出演し、画面上で一堂に会する形式に。一般企業のテレワーク会議のようなというか、一風変わった番組の雰囲気が出来上がりました。

そして、無理かと思われたドラマ制作においても、NHK「今だから新作ドラマ作ってみました」や、テレビ朝日「家政夫のミタゾノ」などで、オンラインで会話する状況をそのままドラマの設定に持ち込んで、今だからこそあり得るシチュエーションとして、今しかできないドラマが制作されています。

そして「今だから―」に続くNHKのリモートドラマ「Living」では、広瀬アリス&広瀬すず、永山瑛太&永山絢斗などの、リアル家族が共演という、こんな時ならではの興味深い企画が登場しました。

またWOWOWが制作した「2020年五月の恋」は、テレワークの中で偶然間違い電話をしてしまった元夫婦の会話劇のリモートドラマで、まずは無料配信の形でお披露目となりました。

吉田羊さんが発案し、相手役に大泉洋さんを指名、岡田惠和さんが突貫作業で脚本を仕上げたものなのですが、少しだけ拗らせたオトナの、自然体で無理のないやり取りが、実にイイ。離婚からしばらく経った元夫婦の久しぶりの対話は、社会の情勢が非常事態ということもあって微妙な心理状態のもとで、昔のままでもあり、今だから気づく部分もありで、なんだかこの二人がとても愛おしく感じられるドラマになっています。

色々と制約を強いられる「こんな時」ですが、「こんな時だからこそ」の合言葉のもと、実現できた新企画は、小さな奇跡のような感激を呼び起こします。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第998号)

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