16Mar
ちょっと、奥さん。「水曜どうでしょう」の最新作の最終夜をご覧になりまして?!
あらやだわ、まだ見てない?そしたら極力ネタバレのない方向でお話ししますけどね。まぁ〜ったく、誰があれほどの結末を想像し得たでしょう!というほどの結末で、早い話がね、ものすごーく面白かったんですのッ!
今更の説明になりますが「水曜どうでしょう」は、北海道テレビ(HTB)が制作したローカル番組でありながら、各地に番組販売されて人気は全国規模。レギュラー放送は6年で終了したというのに、不定期に新作が制作され、何年後になるかわからないその新作を、文句も言わずに待つファンのことは「藩士」と呼ばれます。
イベントを開催すれば数万人の藩士が大挙して北海道を訪れるという騒ぎを起こす、地方創世の旗頭とも言えるかもしれないオバケ番組です。
昨年の10月にそのイベントたる「どうでしょう祭」が開催され、その会場内で実に6年ぶりとなる新作の第1夜と第2夜を公開することになり、しかもそれが全国にライブビューイングの形で同時中継されて、多くの藩士が初公開を共有したのですが、2夜分を充てても内容はやっと企画発表のみという斬新さ。
さらに驚いたことは、その撮影がされたのは2017年の年明け早々だということ。3年間も放送しないでいたの?!ロケが完了するまでに3年も要する壮大な企画なの?!衝撃を受けながらも、北海道ではその年のクリスマスから、他の地方局も数週遅れで新作の地上波放送が始まりました。
ところが、藤村ディレクターからSNSを通じて、3月11日放送の第11夜が最終夜になりますので、この日だけは皆さんで同時に見てくださいとの告知がなされたのです。しかも「是非とも」の思いから、通常なら有料となるHTBオンデマンドの配信もそこだけは無料開放するとのこと。その心意気に乗らぬ藩士ではございますまい?(まあ、数週遅れ分を追いつくために、オンデマンドに課金はしたんですけどね)
ついに当日、HTBのサーバーが持ちこたえてくれるように祈りながら視聴しましたらですね、それは思わず声が出るほどの凄い内容でした。おそらく、見ていた人の大多数が声を上げていたのではないかと思います。(勝手に断定。)
どう凄かったかと言いますと、フツーならお蔵入りになるようなことを、立派に「新作」に仕立ててしまった凄さ、そしてそうすることで、結果的に実にどうでしょうらしいテイストになったんです。平たく言うとアクシデントが起こったのですが、このアクシデントを「神の試練」「運命の悪戯」ではなく、「天の配剤」と切り替えたどうでしょう首脳陣に、大爆笑という賛辞を贈りたい。
「なぜ水曜どうでしょうは面白いのか」という考察に、視聴者が画面の中に入り込んでいるかのような共有感があると言われますが、今回はまさにそれが実現したと思わせる爽快なまでの最終夜でした。
ものものしい前宣伝や煽り文句にも「どーせたいしたことないんでしょ」と冷めてかかるのが当たり前になっていたテレビっ子たち!テンプレなんてどこにもない。少なくとも「どうでしょう」には。テンプレは疑ったほうが面白い。それを教えてくれた、どうでしょう新作でした。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第988号)
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