29Apr
よくSNSの中の表現で、自分には無縁なジャンルを指して「××って何?美味しいの?」なんて言ったりしますが、勤め人にとっての「定時退社」は、まさにそれ。しかも、確かに甘美なまでにオイシイのに、それを食すると若干の罪悪感を伴うところなんて、まるで高カロリースイーツです。
「帰りましょう」と定められた時間だからこその「定時」なのに、本当に帰るのは後ろめたいだなんて、確かにおかしな話ですが、仕事は奉公、生活は修行、自己犠牲こそ正義と刷り込まれてきた日本人気質がそうさせるのでしょうか。
TBSの新たなお仕事ドラマのタイトルは、ズバリ「わたし、定時で帰ります」。オープニングで、黒いスーツを着た群衆が流れとなって一方向に歩いて行くなか、主演の吉高由里子さんが白い服で正面を向いて立ち止まっている映像が、象徴的で印象的です。
ウェブデザイン会社で働く東山結衣(吉高)は、効率よく仕事をこなして毎日定時退社することをモットーにしている。恋人の諏訪(中丸雄一)との仲も順調だが、同じ職場の上司としてかつての婚約者の種田(向井理)が赴任してくると聞いて内心穏やかではない。
そして、同僚の三谷(シシドカフカ)は結衣とは対照的に、残業は当たり前、体調が悪くても休まない、融通のきかないタイプで、部下にもその価値観を無理強いしては煙たがられている。ついには三谷の部下がPCのパスワードを勝手に変更した上で、一方的に辞めるとのメモを残して姿を消した…。
昨今、声高に叫ばれている「働き方改革」がテーマです。個人的に思うのは「働き方」ではなく「働かせ方改革」であって、上の立場の人や、社会全体の認識のレベルから改革しなければならない問題のような気がします。
虐待の連鎖や、体育会系の「根性論」が伝統として受け継がれるように、人の意識の深さに繋がる問題は、単に看板を掲げるだけでは改革できません。しかしその反面、社会の一員としてプロ意識を持つことの重要さもありますから、そんなせめぎ合いがテーマの肝になってくるのでしょう。
折しも世間は10連休真っ只中。「れんきゅうって何?美味しいの?」と呟いてしまった働く皆様、お疲れ様です。働くものに明るい未来はきっと来る!…と信じたいですよね。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第943号)
関連記事
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。