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テレまめ

未来は我らの手の中に【インハンド】

人は、結局やりたいことだけやって過ごしていたいんですけど、実際問題そうもいかない。好きなことだけやってたら、ひいては世のためになって、結果自分にも利益が出るなんてことは、ドラマの中なら当たり前の事なんですけどねぇ。

TBSの金曜ドラマ「インハンド」の主人公、紐倉哲はまさにそんな人。

東大法学部を首席で卒業した牧野巴(菜々緒)は、外務省から内閣官房サイエンスメディカル対策室へ出向。その初日に、重大な感染症の発生を病院が隠蔽しようとしているという内部告発状の裏付けへ向かう。

専門家たちは海外へフィールドワークに出て不在にしている場合が多く、唯一、国内に残っていた寄生虫学者の紐倉(山下智久)は「変態」の異名を取るほどの難物だった。

「面倒くさい」の一言で協力要請を断る紐倉だったが、2年後には手柄を携えて外務省に戻る気満々の牧野は、紐倉がフィールドワークの旅に不可欠なパスポートを失効している事を盾に取り、自分に力を貸せば外務省にも口が効くと交換条件を提示する。かくして、告発元の病院を訪れた紐倉は、告発者の救命医・高家(濱田岳)を突き止め…。

はいはい、ドラマ上の天才は「変人」と相場が決まっておりますね。もう、そうでなければならないかのように。

紐倉は、まずその右手がロボットのような義手。どのような理由でそうなったのかはまだ劇中では明かされていません。それらしいことを言ってもその直後に「そんなの嘘に決まってるだろ」とケムに巻かれます。

細菌や寄生虫を美しいと評し、最も信用できないのは人間。研究の過程の副産物でかゆみ止めの薬を作ったらバカ売れして大儲け、巨大な植物園を改造した研究室を構えて、世界中の学会に認められる天才でありながら、その全てから除名されたいわくつきの人物。

そして、告発文の一件で医者をクビになった高家は、成り行きから紐倉の助手となりますが、こちらは「人のために」が信条で、紐倉のマイペースさにいちいち翻弄されるバカ真面目人間。真逆のコントラストです。

さらには、自らの出世のためにバリバリ行動し、ときに手段を選ばないやり手の牧野との共同体は、典型的デコボコトリオとして補い合うチームワークを見せます。

起動音をたてて動く義手は、まるで意思を持っているかのようで、事件の不穏さや紐倉のひらめき、思考が進んでいくさまを表現してくれます。無愛想な紐倉に対して、雄弁なロボットハンド。文字通りの右腕がこの物語の語り部なのかも知れません。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第942号)

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