15Oct
NHKの朝ドラは、今作で通算99作目。ここまで歴史を重ねながらも、さらにそれを更新していく意味で、「朝ドラ史上、初!」という称号が新作ごとに冠されています。
今作「まんぷく」での「初」は、ヒロイン役の安藤サクラさんがママさん女優であるということらしいです。若手女優さんが起用されることが多いイメージの朝ドラですが、そんな中でもベテラン女優が若手とともにダブルヒロインとして設定される過去作もあったはず…と思ったら、いしだあゆみさん、山本陽子さん、泉ピン子さん、いずれもお子さんはいなかったんですね。
さて、そのヒロイン、今井福子役の安藤さん、もう周知の通り、日本アカデミー賞やブルーリボン賞なども受賞され、高い評価を得ている女優さんということで、初回から不安を感じさせずにドラマに没頭できる演技力です。後に夫となる立花萬平役には長谷川博己さんで、これまた安定の実力派。このお二人が、現在の日清食品の創業者・安藤百福夫妻を演じます。
親しみやすく愛らしい福子のキャラは、まずタイトルバックに出てきます。特に、曲の最後のタイミングで海に向かって両手足を開くポーズが絶妙にハマって気持ちいいです。(ちなみに、カットがかかった後の安藤さんのアドリブだそうです)
そんな福子と、愚直なまでに誠実な萬平の恋は、美しい風景描写の中で爽やかに始まりましたが、世界大戦中の時世もあって前途多難な様相を見せています。後に成功された実在の人物ということもありますが、やはりこの二人の安定感が、ドラマの面白さを前面に出してくれているような気がします。
もちろん、脇を固める出演陣の実力も強大ですが、中でもやはり技量を感じるのは、福子の母親役の松坂慶子さん。夫亡き後、3人の娘を育て上げた母ですが、長女の結婚に際して、自分の寂しさと不安感から、結婚を延期させようと仮病を使います。この、「分かりやすい仮病」をあえて演じるというのも、役者さんとしての実力だなと思えます。
ところでこのお母さん、思考の理由がけっこう自分中心な考えだったり、理不尽だったり。時代背景を考慮すれば当然かもですが、コレ今の時代だったら、いわゆる「毒親」ですよねぇ。本質的にはフジ系「明日の約束」で手塚理美さんが演じたヒロインの母役と同じようなものを感じるのですが、演じ方でこうも印象が変わって見えるのが興味深いところです。
安藤百福さんをモデルにした役柄は、かつて「てるてる家族」にも登場しましたが、その際にも苦境にあっても信頼しあう家族として描かれていました。半年間の朝が萬平さんと福子さんのたくさんの幸せが溢れる物語で、彩られますように。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第916号)
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