23Jul
ドラマや映画、またその原作になる小説の世界には、数多の私立探偵が存在しますが、その大部分は、あまり裕福でない境遇にいるイメージがあります。
危険な割には報酬の少ない依頼でも、義侠心から請け負ってしまって、厄介な案件に巻き込まれてしまうのがお約束の流れ。でも観る側からすると、鋭い洞察力と、冴えた判断力と、躊躇ない行動力とで華麗に事件を解決する名探偵には、生臭い金勘定は似合わない!と、勝手なイメージを植え付けているフシもありそうですよね。
さて、NTVの木曜深夜「探偵が早すぎる」の探偵さんといえば…。
女子大生の一華(広瀬アリス)は、質素な暮らしながらも同居人の橋田政子(水野美紀)から、徹底的に行儀作法を躾けられる毎日。
母を亡くして以来、橋田が母親がわりとしてなっているのだが、その厳しさについつい愚痴ってしまう一華だったが、そんなある日、車にはねられて大怪我を負ってしまう。
何者かに突き飛ばされたという事故の状況に、不穏なものを感じる橋田…。その頃、一華の命を狙った大陀羅(だいだら)家の面々は、不首尾を罵り合い、次なる策に出る。致死率9割の毒グモを使って一華の命を狙おうとするのだが、そんな一華の前に探偵の千曲川(滝藤賢一)がさりげなく現れて…。
まず一華の境遇は、5兆円の資産を持つ富豪の忘れ形見。不遇な恋愛のために正式な結婚をしなかった両親だが、父が亡くなったことで遺産の相続権が一華に渡ることとなり、父方の親族がそれを阻む目的で、一華を亡きものにしようと企んでいます。橋田は父の秘書だった女性で、一華を守る任務を遂行中。そして、一華の身辺に蠢く危機を未然に防ぐ使命を千曲川に依頼したということです。
ひたすらクールな橋田女史が「アルプスの少女ハイジ」に出てくるロッテンマイヤーさんみたいで面白いのと、それまでお嬢様の自覚もなかった一華が、身に迫る危険から守ってもらっている実感もないままでギャーギャー騒いでいる可笑しみが楽しいコメディです。
千曲川は、まだ事件が起きる前に「何もなかったことに」するのが任務ですから、少々やり口は荒いですが、その成果は鮮やか。ですが、飲み屋のツケも払えない貧乏探偵なので、報酬が欲しくてたまらない生臭さ(笑)。また、大陀羅家の朱鳥(片平なぎさ)と亜騰蛇(神保悟志)のブレない悪人っぷりも頼もしい限りです。
脚本は「99.9」の宇田学さんなので、小気味いい胸をすくセリフの応酬が期待されます。
やられる前にやり返す!先手必勝!手荒い探偵の神出鬼没ぶりにご期待あれ。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第904号)
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