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テレまめ

最近とみに思うことが多いんですが、いわゆる「王道の刑事ドラマ」って、絶滅の危機に瀕しているのではないかと。

ここでいう「王道」とは、昭和の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」「あぶない刑事」「熱中時代・刑事編」「噂の刑事トミーとマツ」などなど、イケメンの私服刑事(主にジーンズや革ジャンの)が、走り、飛び、投げ、殴り、カーチェイスし、拳銃をぶっぱなし、越境・越権なんのその、扱う事件は殺人から窃盗、あるいは迷子まで、どんな難事件も大体1時間で(時には2週間に渡るけど)解決してしまい、検挙率は高く、再犯率は低く、そんな刑事に私はなりたい…と詩にでも詠まれそうなほど、世の少年たちの憧れの職業となった刑事さんのこと。

そこへ、「踊る大捜査線」が教えてくれたのが、イヤイヤ管轄の区割りってシビアなんですよ。本庁と所轄、キャリアとノンキャリの扱いの違いのひどさったら。拳銃携行の許可も厳しいし、犯罪の種類って意外と多いの。懲りずに同じ事して捕まる常連もいるし、自分勝手に逆恨みする輩もいる。そして警察官が全員捜査するんじゃなくて、管理職・事務職もいるんだぜぇ。という、ちょっと考えれば至極まともな現実でした。

取調室でカツ丼おごらないし、当然、偶然事件現場に居合わせたニワカ探偵に情報漏えいすることもあってはなりません。となってくると、従来の刑事ドラマは居場所がなくなってしまうわけですね。その路線を残している老舗もありますが、たった二人だけの特捜係も、科捜研が推理までしちゃうってのも、すでに有り得んティな世界として、あれは特別だからって認識しちゃってますよね。

シリーズものを除いた今期の刑事・警察ものドラマは「小さな巨人」と「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」の2題ですが、「小さな」はまるで封建国家の物語。同じ警察機構の中なのに、腹の内を探り合い、揚げ足とったり、罠を張ったり、権力と陰謀渦巻く展開となってきています。

一方「クライシス」は隠密剣士やお庭番みたいな感じ。それぞれのメンバーの個性と技量が際立っていて、現代版「大江戸捜査網」かとも思えます。堅物な田丸(西島秀俊)が格さんで、バーで女性をナンパしちゃう稲見(小栗旬)が助さんにも見えるので、水戸黄門的要素も?(笑)

とにかくこの2本は、「警察もの」として同列に括るのが憚られるほどに、毛色が違う警察ものですが、双方ともたまらなく面白い。格好よく爽快に事件を解決するよりは、もどかしさや不条理さ、理不尽さを突きつけられることも少なくありませんが、それでもぐいぐい惹きつけられるドラマになっています。

ドラマは中盤を過ぎて、大どんでん返しも予想されるクライマックスへ。刮目下さい。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第843号)

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