27Aug
言うまでも無いが、怪獣「映画」のために怪獣の着ぐるみを一体作るのは大変な労力と時間が必要だ。ゴジラの場合は一体の製作費はおおよそ1000万円、期間は3ヶ月ほどかかる。では、毎週毎週新怪獣を出す場合はどうしているのか?
早い話が、改造して流用しているのだ。例えばレットキングはアボラスに(後にレットキング2代目に改造)、ガマクジラはスカイドンに、あとゴジラの着ぐるみが襟巻きだけ付けられてジラースになったなんてのもある。この辺は有名かもしれないが、実は改造はそれだけじゃない。
バルタン星人ももとは『ウルトラQ』の宇宙人・セミ人間の改造だ。口元にその名残がある。さらに、ガバッと開く襟が特徴的なウラン怪獣・ガボラの着ぐるみ改造暦は凄まじい。もとは東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場したバラゴン。このバラゴンがまず『ウルトラQ』の地底怪獣・パゴスになり、次いで『ウルトラマン』の怪獣・マグラに。その次にようやくガボラへ再々改造されたのだが、実はまだ続きがあって、今度は東宝映画『怪獣総進撃』で再びバラゴンとして登場している。さすがにここまでくると着ぐるみもクタクタになっていたが、過去の激しい戦歴を物語っていると言えなくもない。
こういうことをやりつつ新しい着ぐるみも作る。製作サイドの苦労が伝わってくるようだが、時々とんでもないのが出てくるからあなどれない。『ウルトラマンタロウ』に登場する改造ヤプール、改造ベムスター、改造サボテンダーはもうヨレヨレのクタクタなのである。当時の学習雑誌には、そのヒドさに輪をかけるようなコメントが付いている。
「ウルトラマンAとの戦いで曲がった顔は直せなかった」
……フォローになってないぞ、おい。
(文・荒馬大介)
※本記事はテレビる毎日公式メルマガ「週刊・テレビる毎日」のバックナンバーの中から、こざるが厳選した荒馬大介さんのコラムをブログ用に再編集したものです。掲載の年月日と号数は省略します。
関連記事
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。