26Aug
シルバー仮面はさすらい仮面、こんな出だしで始まる主題歌の通り、シルバー仮面は劇中本当にさすらっているヒーローなのだ。
主人公は五人兄弟で、父親は科学者。光子ロケット開発の第一人者だったが、その完成を恐れた宇宙人によって父親を殺されてしまう。だが父親は五人の身体に設計図となるものを埋め込んでいた。自らの身に隠された光子ロケットの秘密を追って、五人はあての無いたびを続けながら、同様にロケットを狙う宇宙人と戦い続けるのだった。
宇宙人の存在が一般には信じられておらず、それゆえに彼等五人の行動が理解されないという設定がポイント。だからこそ、シルバー仮面はさすらっているのだ。ちなみにシルバー仮面に変身できるのは柴俊夫演ずる青年だけ。五人兄弟だからといって戦隊モノみたく戦っているのではない。
時には誤解を受けることもある。宇宙人がその五人兄弟に化け殺戮(りく)の限りを尽くし、本物が警察に追われる身になるという回もあったりする。五人(に化けた宇宙人)がマシンガンをぶっ放すシーンの出来は相当なものだが、それ以上に衝撃的なのが、この回のオープニング映像というのが「納骨に向かう参列者」という、どう見ても子供向け特撮ヒーロー番組のそれとは思えないモノ。最後は殺風景な墓場のカットというのも……。
さらにこの回、とうとう正体を現わした宇宙人に、シルバー仮面は墓場で戦いを始め、あろうことか卒塔婆を引っこ抜いて宇宙人をバシバシ引っぱたく。オープニングの墓場はこの伏線だったのかもしれない。にしても、バチは当たらないのだろうか?
とはいえ、他のヒーロー作品に比べて数十倍のインパクトはある。視聴率では裏番組の『ミラーマン』の影響で苦戦したそうだが、話はこっちの方が面白いと思う。
(文・荒馬大介)
※本記事はテレビる毎日公式メルマガ「週刊・テレビる毎日」のバックナンバーの中から、こざるが厳選した荒馬大介さんのコラムをブログ用に再編集したものです。掲載の年月日と号数は省略します。
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