28Oct
私が「無表情オンナシリーズ」と呼んでいる、日テレ水曜ドラマ枠の作品。過去には「家政婦のミタ」「ハケンの品格」「曲げられない女」「家売るオンナ」など、じっと目を見据えて、高らかに靴音を鳴らしながらまっすぐに歩いていくヒロインたちが印象的ですが、そんなシリーズの中に、新たに「同期のサクラ」という新ドラマが加わりました。
2009年に大手ゼネコン「花村建設」に入社した北野サクラ(高畑充希)は、新潟県の離島の生まれ。故郷と本土を繋ぐ橋を架けることが夢で、優れた建造物を愛してやまない建物オタクでもある。誰に対してもストレートな物言いで、納得の行かないことをうやむやにできない性質である。
新入社員研修で同じ班になった百合(橋本愛)、葵(新田真剣佑)、菊夫(竜星涼)、蓮太郎(岡山天音)は、サクラの変人ぶりに面食らいながらも、仲間たちの絆を強めながら、社会人として成長してゆく。
ドラマ初回が始まってちょっと驚いたのが、まず主人公の桜が自室で倒れて、病院に搬送されるも意識不明から覚めず、同期の仲間たちが集まり、桜の枕元で心配している所から物語がスタートしたことです。
同期の4人の誰もが「サクラの居ない世界なんて考えられない」と思い、彼らが出会った10年前の入社の時に思いを馳せます。初回は入社した2009年、第2話は2010年、第3話は2011年…と、1話ごとに1年を思い出し、だんだんと現在に近づいていきます。経験を積んで着実に成長する同期たちの姿には、感情移入しやすいかもしれません。
感情の起伏を表情に出さないといえば、高畑さんは「忘却のサチコ」でも同様の設定ではあったのですが、サチコとサクラではこれまた別人の趣きです。サクラがふとしたときに見せる笑顔と、それを褒められるとうろたえてしまうのが、キュートです。
故郷の祖父(津嘉山正種)とFAXで会話し、サクラの悩みに対して、格言を筆文字で返してくる部分も胸にしみますが、上から押し付ける格言ではなくて、FAXの最後に「と思う。自信ないけど」などと付け足してくるじいちゃんもまた可愛い(笑)。
他の人からなんと思われようとも、我が道を行く。折れず、真っ直ぐ。そしてそれは一般常識や慣習からは大きく外れた言動のように思えても、人の心を揺り動かすほどの、間違いのない真実。だからこそ見るものは憧れるんですね。
同期たちがいかに10年の経験を経てゆくのか、そして現在になったとき、サクラの病状は…。サクラが持ち続ける夢の現実がそこにありますように。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第969号)
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