29Jul
悲恋の代名詞といえば、ちょっと前なら「君の名は」(春樹と真知子の方ね。)と、もっと昔なら「ロミオとジュリエット」。いずれも時代背景が今とは違います。決定的に違うのが連絡ツール。ロミジュリなんて、携帯電話があれば行き違いもなく、2人での逃避行も叶っていたかも知れません。イヤそもそも事前に双方の家の情報が得られていたら、ふたりの恋が始まっていたのかどうかも懐疑的なんですが(笑)。
いわゆる「行きずりの恋」でも、お別れすればそれきり…といえども、SNSなどを通じて居場所を探り当てるのは、割と容易い事。では現代の恋の行き違いを生み出すのは…?というのが、「偽装不倫」というちょいと不可解なタイトルのドラマです。
濱鐘子(杏)は32歳、独身の派遣社員。3年間、精力的に婚活をしてきたが、成果が出ない現状に諦め気味。自宅は、キャリアウーマンの姉・葉子(仲間由紀恵)と夫の賢治(谷原章介)が二世帯住宅に同居している。
派遣が満了した鐘子は婚活疲れをリセットするべく、博多へ食べ歩き旅行を計画。葉子から借りたワンピースを着て機上の人となるが、ワンピースのポケットの中になぜか葉子の結婚指輪が入っており、処遇に困っていると、棚から落ちた荷物がぶつかった拍子に指輪を落としてしまう。
隣席の男性(宮沢氷魚)が拾って手渡してくれたが、そのイケメンぶりに目を奪われて動揺するあまり、咄嗟に自分は既婚者だと嘘をついてしまう。男性は丈と名乗り、鐘子に対して「旅行の間、不倫しませんか」と誘ってくる。
情報と連絡手段が行き届いた現代で行き違いを生むのは、嘘というヒューマンエラー。そして、その嘘さえ訂正すれば万事解決という気がするものの、それを阻止するのは「不倫という罪悪感があるから恋になるのだ」という忖度と、空気読みです。
婚活をこじらせたとも言うべき割り切れなさが、不可思議な恋を生んでしまいます。婚活を諦めたからこそ降ってきたともいえる恋なのに、婚活の後遺症が純愛を捻れさせる。情報過多時代ならではの頭でっかちな行き違いです。
ドラマでは、そんな鐘子たちの恋に加えて、理想的な結婚をしたと思われた姉・葉子が、自らを独身と偽って年下の恋人と密会する、ふたつの「不倫」が交錯する模様。さらには、丈に忍び寄る病魔の影もあったりで、やはり切ない恋は、時代が変わってもヤキモキさせられるドラマの定番のようです。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第956号)
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