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テレまめ

完璧美悪女【サイレーン 刑事×彼女×完全悪女】

昔、私がドラマを見ていましたらね、母が横からよく聞いてきたんです。「で、どれが悪いヤツ?」ドラマは「いいヤツ」と「悪いヤツ」で構成されていると考えている、ざっくりとした母でした。

好きな役者さんがドラマに出演していて、それがいわゆる「悪いヤツ」役だった時にがっかりされる方がいるんですが、私は、主人公とがっつり絡める、悪いヤツ役も大歓迎なんです。何と言っても存在感が絶大ですからね。

だからこそ、フジテレビ「スカッとジャパン」での嫌われ役のキャストがブレイクしたりもするんですね。その「スカッと」でも美しき悪女として定評を得ている菜々緒さんが「完全悪女」として出演しているドラマが「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」です。

警視庁の機動捜査隊に属する里見偲(松坂桃李)と猪熊夕貴(木村文乃)は仕事上のバディではあるが、実は私生活では恋人同士。だが同じ職場での恋愛関係は即座に異動に繋がるため、周囲にはヒミツの関係だ。

その二人が、あるキャバクラ嬢変死事件を担当した際に、同僚の美女・橘カラ(菜々緒)に出会い、それ以来、夕貴の周りにカラがよく現れるようになる。そして夕貴に対して異常なまでの関心を示して、着実にその距離を縮めていく。時には心安い同性として、時には参考になるアドバイスを、時には弱みを見せて。カラに対して違和感を覚える里見とは対照的に、夕貴は次第にカラに心を許すようになっていく。

その後に起こる事件に何かとカラが絡んでくることで、ますますカラに対する疑念を深める里見だが、カラはその裏をかくような行動で里見の形勢を不利にさせ、その影響で夕貴との恋愛関係にも微妙なひずみが生じてくるようになる。

まずは「完全悪女」のサブタイトル通り、菜々緒さんの完璧な美悪女ぶりに釘づけになります。顔もスタイルも、スポーツ万能なところも、そして眉一つ動かさずに殺人を犯すところも。菜々緒さんありきでこのドラマが企画されたのではと思ってしまうほどです。

カラがクールな表情から一転、ニコリと微笑むと、悪女だと知っていても「そりゃぁ、騙されるさ」と変に納得してしまう。ある意味、原作よりもカラ度が高いかもと舌を巻くほどの、究極の「悪いヤツ」を演じています。ここまで徹しているからこそ、意外なまでに嫌味がないんですね。むしろ、里見や夕貴の出世を阻止するべく抜け駆けの小細工をする、同僚刑事・速水役の北山宏光さんにはかなりイラつきますけどね(笑)。

一方、毎回地味に恒例になっているのが、松坂桃李さんのコスプレ…いやいや、変装のシーンです。尾行、張り込み、潜入捜査で現場のTPOに合わせた服装に変化するのですが、中でも「ヲタク」変装は、なかなかのものでしたよ。

4話までで、カラの目的が、夕貴の持ち前の「正義感」であることがなんとなく見えてきましたが、まだ中盤、じわじわと毒薬を垂らしていく感じで進んでいます。おそらくラスト1〜2回での畳みかけるような怒涛の展開が予想されますので、それまでは、じっくりと溜めておく楽しみを感じながら、カラの微笑に翻弄されてみてください。

※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第767号)

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