24Sep
9月の末は母の命日なのですが、彼女はよく生前に「学生相手の食べ物屋さんをやりたい」なんてことを話していました。とは言え、地元は学生街でもなく、母自身もそれほど料理上手という訳でもなかったので、つまりは「若い人と他愛もない話で笑い合う」といったシチュエーションに憧れていたのだと思います。
先日、NHKの「SONGS」を見たあとチャンネルをそのままにしていましたら、続いて始まったのが「きじまりゅうたの小腹すいてませんか?」という番組。料理研究家のきじまりゅうたさんが、街角で一般の通行人に声をかけ、その人の自宅にお邪魔して、家にある食材を使ってちょっとした料理を作るというもの。調べてみたらば、きじまさん出演の「小腹がすきました!」という料理番組のスピンオフ企画とのことでした。
きじまさんの風体は居酒屋の気さくな大将といった感じで、彼に「すいません、NHKなんですが」と声をかけられた人は大抵「え、NHK?」と疑わしく聞き返してしまうほどの、NHKらしくなさ(笑)。それでも、ひとたび台所に立つと、住人が「何もないですよ」と言う冷蔵庫の中から食材を探して、たちまち2〜3品の料理を作ってしまうプロの技を見せてくれます。
そして料理の腕もさる事ながら、料理を作りながらのトークが軽妙で、行きつけの店の店長と客といった雰囲気を醸し出していて、週末の深夜に合った、気持ちのほぐれるような番組でした。不定期放送らしく、次回放送は未定なのですがぜひまた見たいと思っています。
昔は、主婦のための「献立の参考」となるのが料理番組の使命でしたが、時の移り変わりとともにそれも多様化しています。クリエイティブな趣味としての男の料理、食材とその生産者をクローズアップしてから味を堪能するもの、食にまつわる思い出に特化したもの、子供や初心者向けのもの、その逆に、素人には真似できない職人技を見せつけたり、それをクイズに転化させるものなど、一風変わった料理番組が数多くあります。
さらには、それが進化して「飯テロ」と呼ばれるようなドラマ形式になったりと、テレビの「食」は、どんな時に、どんな人と一緒に、どんな場所でと、食に付随する境遇までも味わおうとしているようです。
さて、明日は何を食べましょうか。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第913号)
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