10Apr
日本中が、いや世界中が止まっています。人の往来が、経済が。いつ終息するのかが見えないだけに、重苦しい雰囲気だけをはらんだまま、空気がよどんでいるかのようです。
このコロナウイルスの騒動は、緊急事態であることは知りながらも、目に見えないものであるためか、どこか他人事のような気がする一面もありました。しかしそれを身近なものに感じさせた出来事が、志村けんさんの訃報です。
すべての世代に対して身近な存在であった志村さんは、いなくなって改めてその偉大さに気づかされ、その喪失感は底知れないものなのだと思い知らされています。
訃報はいつだって突然で、大きな失意や寂寞を伴うものですが、今回は特別な事態に、特別な人を奪われた衝撃で、騒動に疲れた人々に追い打ちをかけるかのようなダメージであった印象です。
志村さんの追悼特集で、在りし日のコントやバラエティ番組の映像を見るにつけ、家族全員が大笑いできることに、氏の偉業を思い知ると同時に、やはりみんな笑いを求めているのだと再認識させられます。
ちょうど先日、SNSで「100日後に死ぬワニ」というマンガが話題になりました。普通の日常を送っていたワニ君の、何気ない毎日の情景の枠の外に「死まであと〇日」となっているアンバランスな描写に、運命に抗えない理不尽さのようなものを感じていた矢先だっただけに、志村さんの映像に笑いながらも、もう会えない事実の残酷さを突き付けられた思いでした。
志村さんにはもう会えませんが、視聴者や後輩たちが受け取った氏の遺伝子は、氏を知らない令和生まれにさえも受け継がれていく気がしてなりません。
志村さんのご冥福を慎んでお祈り申し上げます。
※元記事:コラム「さっちゃんはね、テレビが大好きホントだよ♪」(テレビる毎日公式メルマガ[週刊・テレビる毎日]第991号)
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