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テレまめ

特撮コラム「5、4、3、2、1」

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日本で大人気となった『サンダーバード』だが、中でも一番驚いていたのは日本の特撮映画スタッフ陣だった。テレビ画面いっぱいに登場する数々のメカニックの活躍達に目を見張り、驚嘆していたのは何も子供だけではなかったのである。

とりわけ目を引いたのはメカの巨大感と迫力だろう。ロケットの発進シーンひとつ取っても、ミニチュアだということを感じさせない雰囲気と重量感がある。これだけのものを観て驚かないわけがない。

「いったい、どう撮ってるんだ?」

そう思ったスタッフ達はあれこれと考え、やはり海外の作品なのだからTV作品といえどもかなりの予算をかけていて、大きなミニチュアを制作して撮影しているのだろう、と思っていたのである。

ところがどっこい、そうではなかった。

画面では大きく映っていたミニチュアだが、実際は50センチも無い小型のモデルがほとんどだった。それをいろいろ工夫してさも巨大なロケットのように見せていたのだ。この方法とかを紹介すると特撮論みたくなるのでここでは省略するが、ある意味特撮の基本のような撮影方法で日本のプロ達を驚かせていたわけだ。

実際『サンダーバード』の撮影は、プロデューサーが持っていたスタジオ(といっても倉庫の片隅みたいなところ)で細々と行われていた。海のシーンでは仮設のプールを作ったが、その大きさもせいぜい畳四畳半も無かったという。なのにここまでやるとは!

……いや、こんなこと書いてる私も、この話を始めて知った時は本気で驚きました。いやホント。

まあ『サンダーバード』は成功を収めたが、これの数年後に円谷プロが制作した特撮ドラマ『マイティジャック』はかなり『サンダー〜』を意識した作品となっているにも関わらず、大コケしてしまった。

いや、力を抜いていた訳ではない。1話当たりの製作費が5000万円(その頃でだから、今なら……?)で、この作品の為に500倍速で撮影出来るカメラまで購入した。主題歌の作詞を誰がやるかでゴルフコンペまでした、ってのは特撮と関係無いけど、それくらい力は入っていた。しかし力を入れまくるのは良いが『マイティジャック』は失敗した。これもひとえに『サンダー〜』のような、小を大に見せてしまうテーブルマジック的なモノを忘れていたのではなかろうか。凄いのを撮りたい、という気持ちは画面から痛いほど伝わってくるのだが……。

(文・荒馬大介)

※本記事はテレビる毎日公式メルマガ「週刊・テレビる毎日」のバックナンバーの中から、こざるが厳選した荒馬大介さんのコラムをブログ用に再編集したものです。掲載の年月日と号数は省略します。

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